ディスコグラフィ   シカゴ(22)

NIGHT & DAY BIG BAND (1995/5)
CHICAGO

曲目 ナイト・アンド・デイ〜ビッグ・バンド
シカゴ
総評

試聴♪

Produced by BRUCE FAIRBAIRN

曲目
01 CHICAGO シカゴ
02 CARAVAN キャラヴァン
03 DREAM A LITTLE DREAM OF ME ドリーム・ア・リトル・ドリーム・オブ・ミー
04 GOODY GOODY グッディ・グッディ
05 MOONLIGHT SERENADE ムーンライト・セレナーデ
06 NIGHT & DAY ナイト・アンド・デイ
07 BLUES IN THE NIGHT ブルース・イン・ザ・ナイト
08 SING, SING, SING シング・シング・シング
09 SOPHISTICATED LADY ソフィスティケイテッド・レディ
10 IN THE MOOD イン・ザ・ムード
11 DON'T GET AROUND MUCH ANYMORE ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア
12 TAKE THE "A" TRAIN A列車で行こう
<日本国内盤ボーナス・トラック>
13 STRING OF PEARLS 真珠の首飾り
総評

91年のアルバム『21』の成績が振るわず、また、次作と目されていた『STONE OF SISYPHUS』が94年にお蔵入りするなど、90年代前半のシカゴをめぐる状況はきわめて厳しいように思えてなりませんでした。

意のままにならないシカゴは、ついにレーベル移籍を敢行します。つまり、上記『STONE OF SISYPHUS』の発売を見合わせたリプリーズ(『19』、『20』、『21』を製作)を去り、同じワーナー傘下のジャイアントに移ります。このジャイアントですが、そこの社長は以前フル・ムーン(『16』、『17』を製作)にいたアーヴィング・エイゾフでしたので、おそらくは彼を頼ってのことと推察されます。

このような状況の下で、95年に突如姿を現したのが、本アルバム『ナイト・アンド・デイ〜ビッグ・バンド』です。もちろん、ジャイアントで製作したものです。

ナンバー・タイトルを踏襲しなかったのみならず、メンバーの自作曲も含まない、驚きのカバー・アルバムでした。

具体的には、古き良きビッグ・バンド時代の作品をシカゴ風にアレンジした曲が収録されています。てっきり、次のアルバムは『22』ないし『STONE OF SISYPHUS』と命名されるであろうと予想していた多くのファンの度肝を抜く、まさに予想外の展開でした。

しかし、思い起こせば、シカゴはそもそも“ロックン・ロール・ウィズ・ホーンズ”というホーン・セクションを主体としたショウ・バンドを目指して結成されたのです。

そして、このホーン・セクションは、ビッグ・バンドにとって必須の楽器でもあるわけです。そのシカゴ・ホーンズのうち、ウォルターやリーは何よりもまずこれらビッグ・バンドの奏でる楽曲とともに少年期を過ごし、また、ジミーも高校時代はジャズ志向の活動に没頭していました。従って、総じて言えば、グループの原点回帰的な性格を持ち合わせた作品と評価できるでしょう。

個人的には、このアルバムについて、「よくぞやってくれた!」と思ったのを覚えています。正直、80年代のシカゴに対しては、初期の頃にあれだけ縦横無尽に活躍していたホーンの音が薄れていたせいか、私自身どこかもどかしさを隠せずにいました。

しかし、この『ナイト・アンド・デイ〜ビッグ・バンド』では、そのホーン・セクションが大復活を遂げ、シンセを最小限に抑えた、生の楽器の味わいをフルに活かしているため、まさに私をカタルシスへと導いてくれたのです。

ですから、シカゴは知らなくても、ジャズやビッグ・バンドをたしなまれる方にもぜひにもおすすめしたい1枚です。

ちなみに、『ナイト・アンド・デイ〜ビッグ・バンド』の国内盤のライナーでは、メンバー個々のビッグ・バンドとの関わり合い、エピソードに触れることができます。

ところで、“ビッグ・バンド”とは、誤解を恐れずに言えば、基本的には、ホーン・セクションを構成する、サックス、トロンボーン、トランペットの大所帯と、これにピアノ、ベース、ドラムなどの少人数が受け持つ楽器を合わせた編成のバンドのことを指すようです。そして、その演奏曲目は、オーケストラの奏でるクラシックよりも、もっとくだけたジャズ志向の楽曲が中心となります。本アルバムにも収録された"イン・ザ・ムード"や"A列車で行こう"など、聴けばすぐ「ああ、これか!」と思っていただけるはずです。このビッグ・バンドは1930年代から40年代にかけて黄金期を迎え、後年に至り、いつも古き良き時代の象徴として語られるようになります。もっとも、現代ではもっとフレキシブルなものもレパートリーとなっているみたいです。

Q&A 『STONE OF SISYPHUS』未発表の経緯

『ナイト・アンド・デイ〜ビッグ・バンド』の製作時期

01

CHICAGO
シカゴ

FRED FISHER

02

CARAVAN
キャラヴァン

IRVING MILLS DUKE ELLINGTON & JUAN TIZOL

03

DREAM A LITTLE DREAM OF ME
ドリーム・ア・リトル・ドリーム・オブ・ミー

GUS KAHN WILBUR SCHWANDT & FABIAN ANDRE

04

GOODY GOODY
グッディ・グッディ

JOHNNY MERCER & MTTY MALNECK

05

MOONLIGHT SERENADE
ムーンライト・セレナーデ

MITCHELL PARISH GLENN MILLER

06

NIGHT & DAY
ナイト・アンド・デイ

COLE PORTER

07

BLUES IN THE NIGHT
ブルース・イン・ザ・ナイト

JOHNNY MERCER HAROLD ARLEN

08

SING, SING, SING
シング・シング・シング

LOUIS PRIMA

この"シング・シング・シング"は、アルバムのライナーによれば、ルイス・プリマ作詞・作曲の1936年の作品で、特にベニー・グッドマンの名演で有名だそうです。

歌詞中、≪have a ball≫とありますが、ここの≪ball≫とは野球などのボールのことではなく、舞踏会のことを指します。≪have a ball≫で≪楽しいときを過ごす≫という意味となるようです。従って、単純な繰り返しになりますが、歌って楽しく過ごそう!という内容の曲です。

また、この曲には、あのジプシー・キングスがゲスト・ヴォーカルとして参加しています。もっとも、その実は、プロデューサーであった故ブルース・フェアバーンがわざわざ彼らの居住するフランスにまで足を運んでトラック撮りをした模様。

ジプシー・キングスは、80年代初頭にグループとしての形を整え、しかも、かなりのメンバー・チェンジを経験してきたジプシー・ロックの雄。現在では、“ジプシー”の語は差別的として使用を控え、代わりに“ロマ”という言葉を用いる向きもありますが、彼らは今でも、あえて誇りを持って“ジプシー”と名乗っています。日本では、"ジョビ・ジョバ"やビールのCMでお馴染みの"ボラーレ"などで有名ですね。そのうち、この"シング・シング・シング"には、一番聴き慣れたリード・ボーカルのニコラス・レイエスのほか、パチャイ・レイエス(ボーカル)、トニーノ・バリアルド(ギター)が参加しています。なお、アレンジはシカゴのリー・ロックネインが手掛けています。

なお、本作『ナイト・アンド・デイ〜ビッグ・バンド』のブックレットには、このジプシー・キングスによるスペイン語の歌詞が記載されていません。しかし、27作目の『シカゴ・コンプリート・ベスト』(国内盤)にはこれがバッチリ掲載されています。意味は、英詩と同じく、≪みんなで歌おう!≫という歌詞が大半を占めています。

09

SOPHISTICATED LADY
ソフィスティケイテッド・レディ

DUKE ELLINGTON IRVING MILLS MITCHELL PARISH

10

IN THE MOOD
イン・ザ・ムード

ANDY RAZAF JOSEPH GARLAND

11

DON'T GET AROUND MUCH ANYMORE
ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア

DUKE ELLINGTON BOB RUSSELL

12

TAKE THE "A" TRAIN
A列車で行こう

BILLY STRAYHORN

<日本盤ボーナス・トラック>
13

STRING OF PEARLS
真珠の首飾り

EDGAR EDDIE DeLANGE JERRY GRAY