原稿締め切り日(?)に書き込みさせていただきます。
本日の至るまで『XXX』を通しで何度も聴きました。そうは言っても音楽的なこと、音響的なこと、技術的なことは何も語れませんが・・・
XXXはChicago史上で位置づけるならば、再出発にあたっての、『全曲新曲によるグレーテストヒッツ』との思いが強くなってきています。
これまでのバンドの歴史を網羅しているがために、だからこそそれぞれの時代のそれぞれの立場でのすべてのファンに訴える曲が必ず入っていることが最大のメリットである一方で、逆にそれが最大のデメリットになりうる・・・Chicagoのすべての時代に通じていないと「何だか印象の薄い曲」の存在が気になってしまうのではないでしょうか。
私自身は大満足なのですが、現在のところ(夢に描いたような)爆発的ヒットになっていない一因になっているような気がします。ジェイ・ディマーカスのシカゴに対するリスペクトが仇になってしまった、としたら皮肉ですが、バンドの歴史を見直して、未来に向けて再び旅立つにあたってのスタートラインとしては最高だと思います。
1.大傑作だと思います。個人的にはやはり13.ですが、これから始まるアルバムの序章としてウォーミングアップ(ホーンがないとこうなる)としての役割かな、と思っています。
2.正直言って、ジェイソンの最高傑作だと思います。同じハイトーンでも私にはピーターは金属的な響きがあるのに対してジェイソンはガラスのような透明感を感じさせます。彼の声質をよく生かした作品だと思いました。最初聞いたとき、天空からの声かと思いました。
3.Chicagoが誇るボーカリストたちの面目躍如、爽快なシャウトです。
4.シェリー・フェアチャイルドの声を初めて聴いたとき、浮かんだのがリンダ・ロンシュタットでした。カントリー畑から出てきて、アメリカを代表するボーカリストに大成した彼女を思わせるスケールを感じてしまいました。抑え気味のビルもいいですね。
5.これこそラスカル・フラッツとのコラボレーション。売れることだけを考えればこれこそファーストシングルでしょう。きっと、ジェイはわかっていて敢えてそうしなかったのだろう、私はそう思っています。
6.13曲をならべるとこの曲は後半のロック、ファンキー的展開を前にしての静寂、という印象でした。
7.私のファーストインプレッションはこの曲! やはりヴォイス・オブ・シカゴはロバートです!! ジミーのホーンアレンジの健在ぶりには思わず涙腺が緩みました。
8.アルバム中で最も正統派ロック色が感じられます。隠れ1位にする人も多いのではないでしょうか。
9.ビルのファンキーテイスト満開。ライブではかつてのテリーのパートを受け持っているビルですが、やはりソウルフルなテリーはテリー、ビルはビルでファンキーという自分の味を持っているんだな、と認識させられます。
10.同じファンキーでもロバートが取り組むとこうなる、というお手本でしょう。贅肉をそぎ落としたシンプルな歌詞と音。こういうロバートもいいです。
11.12.ボーカリストとしてのビルは自分の可能性をこのアルバムの中で思う存分に発揮していて、その仕上げがこの2曲、という印象を置けました。Sons のようでいてでも Chicago、ボーカリストとしてのビルとプロデューサーとしてのジェイの実力をまざまざと見せられました。
13.大傑作です。まず歌詞がいいです。私はこの歌詞に接して、チャップリンの『独裁者』のクライマックス、世紀の6分間とも呼ばれる演説の一節を思い出しました。
We think too much; we feel too little.
More than machinery, we need humanity.
More than cleverness, we need kindness and gentleness.
Without these qualities, life will be violent and all will be lost.
垣間聞こえるピッコロトランペットの音色が冴えています。この楽器をこのように効果的に使っている曲はBeatlesの「ペニーレイン」くらいでしょうか。
思えばこのサイトは私が“ネットデビュー”させてもらった所でした。それまで(自分で認識している限りで少なくともこの13年間)仕事に追われる毎日で、仕事の合間や寝る間際にインターネットを開くことと、まれにまとまった時間がとれたときに聴くChicagoが安らぎだった私に、新しい楽しさをもたらしてくれたのがこのサイトでした。ただし様とChicagoには感謝としか言いようがありません。
今日は長々とお邪魔しました。
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