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ANOTHER PERFECT WORLD (2001/3)
PETER CETERA
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・曲目 |
アナザー・パーフェクト・ワールド
ピーター・セテラ |
・総評 |
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・試聴♪
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Produced by |
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MICHAEL OMARTIAN & PETER CETERA |
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97年の『YOU'RE THE INSPIRATION : A COLLECTION』から4年振りとなるアルバム。
プロデュースは、マイケル・オマーティアンとの共同作業。彼は、ピーターの出世作であるソロ2作目『SOLITUDE / SOLITAIRE』のほか、前作『YOU'RE THE INSPIRATION : A COLLECTION』の中においても、久々の新曲となった"DO YOU LOVE ME THAT MUCH"を手掛けています。
全体的にはピーターのソロ作に通じるゆったりとした曲調が多く見られるラブ・ソング集。一般のポップ・チャートというよりは、すっかり定着したアダルト・コンテンポラリー路線を継続させたものとなっています。
ただ、ナッシュビルに音楽的な拠点を置き、また、他人の作が大半を占めていることもあって、どこかカントリーやクリスチャン・ミュージック的な影響もうかがわれます。
とりわけ、ピーター特有の“優男”感は陰をひそめ、代わりに、世相を離れ、日々の生活や自然の事象の中に情感を託す保守的な純愛物が多くなっているような気がします。
決して時流に乗った音楽とはいえませんが、製作当時のアメリカの時勢を考えると、本作のように内面的に落ち着いたアルバムはかえって多くの人の心をつかむことになるのではないでしょうか。そんな1枚です。
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01
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PERFECT WORLD
パーフェクト・ワールド
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JIM WEATHERLY PETER CETERA |
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久々のピーターのアルバムは、都会から離れたところで暮らしてもキミさえいれば何も要らない、というこの曲で始まります。
おそらく、クレジットの順序からして共作者のジム・ウェザリーがメインで書いたものだと思われますが、ピーターの現在の生活がうかがわれるような内容となってます。つまり、ピーターは近年、ナッシュビルに拠点を移して活動を続けていますが、そんなナッシュビルの風土がここに表れてるのではないでしょうか。別にナッシュビルが田舎というわけではなく、非常にシンプルな生活を送れるところなんだと思います。
もっとも、現在のナッシュビルは、かつてのようにカントリー一辺倒というわけではなく、多くのミュージシャンが拠点を移したことでも分かるように、ポピュラー・ミュージックの一大中心地となってるようです。
この曲もカントリーを意識した感じですが、故郷をたたえたりするというよりは、シンプルな生活の中での“キミ”の存在の方に重点があるようです。
もともと、ピーターの詩作りは、自らの情感、つまり、内面の気持ちを歌詞に託すことが多いタイプですが、それがこの共作曲の中でもうまく活かされ、質素な生活と対比させて表現されてるところが面白いです。しかも、全体的に情景描写が平易な単語によってつづられており、この辺はピーターの作詞方法によく似ています。
音的には至って現代的ながらも、イントロのキーボードなども変に機械っぽくなくて心地良いです。ドラミングも電子ドラムのスカスカ感がなくていいですね。また、全体的にブラスが抑え気味に利いてるのも見逃せません。
なお、ジム・ウェザリーは、ミシシッピー出身で、古くからソングライターとして活躍した人です。何と言っても、73年のグラディス・ナイトとピップスのNO.1ヒット、"夜汽車よ!ジョージアへ"の作者として名を知られています。ちなみに、この"夜汽車よ!ジョージアへ"は、カントリー調をイメージして作詞したにもかかわらず、シシー・ヒューストン(ホイットニーのお母さん)やグラディスなどのブラック・ミュージシャンに取り上げられたという逸話を持つ興味深い作品でもあります。
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02
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RAIN LOVE
レイン・ラヴ
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CHRIS PELCER ROBERT WHITE JOHNSON AL DENSON |
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ここに出てくるクリス・ペルサーという人は、本アルバムでも実に5曲に参加している人物です。ピーターとの接点は残念ながらよく分かりません。
ただ、CDのライナーによれば、クリス・ペルサーは、プレイヤーのピーター・ベケットの91年のソロ作くらいから世に知られてきたライターとかで、この曲ももともとは共作者のアル・デンソンのアルバムに収められていたもののようです。
歌詞を見ていると、一途な男の顔に雨のしずくがあたる様子が想像されてきます。CDジャケットにあるような大きな木の下で両手を広げ、そこに雨粒がスローで降り注ぐ、そんな光景が目に浮かんできます。
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03
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JUST LIKE LOVE
ジャスト・ライク・ラヴ |
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CHRIS PELCER LESLIE MILLS |
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≪自分がキミのすべてになろうとすることは、ちょうど愛みたいなものさ≫。
つまり、ここでは“愛=不確実なもの、難しいもの”というたとえとして挙げられてるようです。それでもめげない主人公は奇跡が起こるのを期待してキミを待っています。
なお、2001年10月、この曲のラジオ向けのシングルが出て、各地で好評を博した模様です。
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04
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FEELS LIKE RAIN
フィールズ・ライク・レイン
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KARLA BONOFF PETER CETERA
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『シカゴ13』の"LOSER WITH A BROKEN HEART"を思わせるような物憂げな立ち上がり。
これは歌詞内容が十二分に反映された結果でしょう。恋に破れた者にとって、雨とはこんなにどんよりしたイメージを与えるものなのだなあ、と雨男の私には責任を感じさせられるような内容です。こういう曲の最期には雨が降りしきる効果音などを入れてもよかったのではないかと提案したくなります。
共作者のカーラ・ボノフはLA出身のシンガー・ソングライター。叙情的で深みのある歌声は日本でもとても多くの人に親しまれています。彼女が頭角を現してきた70年代末期は、いわゆるAOR音楽が一世を風靡し、他にも、リンダ・ロンシュタット、リッキー・リー・ジョーンズなど、雰囲気のある歌を歌う女性アーティストたちが活躍したときでもありました。どうせなら、ピーターとデュエットして欲しかったですね。
ちなみに、カーラはピーターのソロ4作目『WORLD FALLING DOWN』(92年)にも何らかの形で参加していました(名前があるだけで、具体的な関わりが分からないのです。すいません・・・)。
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05
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I'M COMING HOME
アイム・カミング・ホーム
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CHRIS PELCER KATINKA HARTCAMP
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前曲"FEELS LIKE RAIN"で内にこもってしまった主人公がやがて立ち直り、キミの元へ向かう、といった連作的な作品。
作者も違うので、単なる偶然かと思いますが、私はそんな感想を持ちました。
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06
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IT'S ONLY LOVE
イッツ・オンリー・ラヴ |
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JOHN LENNON PAUL McCARTNEY
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オリジナルは、ビートルズの『4人はアイドル(HELP!)』(65年)に収録されていた作品です。クレジットは、レノン/マッカートニーとなっていますが、実質的にはジョンの自作自演曲です。
このビートルズによるオリジナルの方は、ちょうどピーターがシカゴ時代に歌った"IN TERMS OF TWO"的な雰囲気を持つフォーク・ロック調の作品でした。
ただ、上記アルバムには他にたくさん有名な曲が入っていたため、この曲自体は地味な印象を与えていたようです。
内容は、そんなに深刻な別れの話でなく、軽いいざこざで彼女の機嫌を損ねたところで、「ただの恋なのに、なんか難しいなあ〜」といった程度のものと思われます。
ピーターは「ビートルズが大好き」とよく言ってますから、このカバーはなるべくして実現したものでしょう。オリジナルにあったアコースティック・ギターの音色も心地良く再現されています。歌詞もピーター好み(と勝手に思ってるのですが・・・)のシンプルなもので、聴いていてとても覚えやすいというのが第一印象です。さすが、ビートルズ!
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07
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RULE THE WORLD
ルール・ザ・ワールド
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CHRIS PELCER LESLIE MILLS |
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う〜ん、もしかしたら、このアルバムは前後の曲を何らかの関連性を持たせて作っているのかな、とも思います。
ビートルズ・ナンバーの次に来るこの曲も、意識してのことなのかどうか知りませんか、イントロが妙にビートルズっぽいです。
内容の方は、≪僕が世界を支配するようになったら、僕のなしうる限りキミを愛そう≫、≪いつまでもキミのそばにいるよ≫という典型的なラブ・ソングです。
ただ、共作者のクリス・ペルサーの特徴が歌詞の中に出ていると思います。推測するに、彼クリス・ペルサーは、“自然”と“抽象的な言葉”を組み合わせて歌詞を作っていくことに長けたライターなのではないでしょうか。ここでも、≪a garden of hope≫、≪the sea of needs≫、≪the sky of promises≫といった詩になって表れています。
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08
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HAVE A LITTLE FAITH
ハヴ・ア・リトル・フェイス
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J.D.MARTIN PETER CETERA
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男女の恋の物語。
女性の方がこの恋に少し自信をなくす。揺れる彼女・・・。
そして、男が答える。≪思い出して、僕がキミを愛していることを。ちょっとでいいから僕を信じてくれるだけで、キミもこの恋に自信を持てるようになるよ≫。
そんな語りかけだと思います。
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09
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ONLY HEAVEN KNOWS
オンリー・へヴン・ノウズ
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JAMIE HOUSTON J.D.MARTIN |
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"HAPPY MAN"にも通じるラテン・タッチなパーカッション・ワークが全編で堪能できます。後半には哀愁を帯びたホーンの音色も響き渡っています。
曲は、≪人生のいくつかのことは人智を超えるものがある。まさに神のみぞ知るところなんだ≫。そんな先行きの分からない恋の行方を歌ったもののようです。
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10
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WHATEVER GETS YOU THROUGH (YOUR LIFE)
ホワットエヴァー・ゲット・ユー・スルー(ユア・ライフ)
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CHRIS PELCER |
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≪キミに何が起ころうとも、それは必然なんだ。そして、それを信じるんだ。そして、それがキミの人生なんだよ≫。
面白いことに、本アルバム中において唯一女性だけに向けられず、広く人そのものに諭(さと)すような内容になっています。
作者はこのアルバムで再三登場するクリス・ペルサーです。どこか暗示的な歌で、この曲を最後に持ってきたこともそのことを一層際立たせているように思われます。
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