ディスコグラフィ   ピーター・セテラ(08)

YOU JUST GOTTA LOVE CHRISTMAS (2004/10)
PETER CETERA

曲目 [日本国内盤未発売]
ピーター・セテラ
総評

試聴♪

Produced by PETER CETERA & TONY HARRELL

曲目 <国内盤未発売のため、一般的な邦題や単純なカタカナ表記を使用しています>
01 LET IT SNOW レット・イット・スノウ
02 CHRISTMAS SONG クリスマス・ソング
03 SANTA CLAUS IS COMING TO TOWN サンタが街にやってくる
04 BLUE CHRISTMAS ブルー・クリスマス
05 DECK THE HALLS ひいらぎ飾れ
06 I'LL BE HOME FOR CHRISTMAS クリスマスは家で過ごそう
07 YOU JUST GOTTA LOVE CHRISTMAS ユー・ジャスト・ガッタ・ラヴ・クリスマス
08 JINGLE BELLS ジングル・ベル
09 GOD REST YE MERRY GENTLEMEN 世のひと忘るな
10 WINTER WONDERLAND ウィンター・ワンダーランド
11 SOMETHING THAT SANTA CLAUS LEFT BEHIND サムシング・ザット・サンタクロース・レフト・ビハインド
12 ALONE FOR THE HOLIDAYS アローン・フォー・ホリデイズ
総評

ピーター・セテラが2004年に放った新作は、自身初のクリスマス・アルバムでした。これがソロ第8弾となります。

プロデュースからアレンジまで、ピーター自身とトニー・ハレルが共同であたっています。トニー・ハレルは、2003年に行われたピーターのソロ公演にも同行したピアニストです。

本アルバムには、なじみのあるクリスマス・ソングに加え、3曲の新曲が含まれています。新曲は、いずれもピーターとトニーの共作品です。

他にも本作には目玉が用意されています。

楽曲としては、愛娘クレア・セテラとのデュエットが2曲、ブルーグラスの旗手アリソン・クラウスとの共演が1曲、収録されています。

また、CDのディスク上には次女セナ・セテラの実に微笑ましいイラストがプリントされています。

このように、全体的には、“家族で楽しむクリスマス”といった趣向をうかがうことができます。

さらに、海外では、エンハンスト盤という若干のオマケが付いたCDも売られたとのことです。

なお、ピーター・セテラのオフィシャル・ウェブサイトの「PICS」コーナーでは、このアルバムの製作風景の写真などがご覧いただけます。


ところで、ピーターは、このアルバムに関して、newbeats.comの取材に以下のように回答しています。まったくの意訳ですので、必ず原文をご確認なさってください。

<newbeats.comのインタビュー>

Q1 クリスマス・アルバムを製作しようとしたキッカケは?

僕はずっとクリスマス・アルバムを出したかったんだ。でも、なかなか時機が合わなくてね。だいたい2年前くらいだったかな、手が空いている旨を周囲に伝えていたんだ。それで、デヴィッド・フォスターの呼び掛けに応じて、マクドナルド主宰のコンサート(※管理人注)に参加したんだ。デヴィッドは僕にステージに上がらないかって誘ってくれた。僕たちが一緒にやってきた曲を、8編成のシンフォニーを従えてメドレーでやりたいと言うんだ。セリーヌ・ディオンも出演するんだって。それで、シカゴ(=地名:管理人注)のエアリー・クラウン・シアターに行って、オーケストラをバックに歌ったんだよ。シカゴ(=地名:管理人注)のファンの前でこんな形で歌うのははじめてだったね。そして、今こそ時機だ、とひらめき、3つのことをやろうと思ったんだ。1つはクリスマス・アルバム、2つ目はシンフォニーを連れたツアー、そして、3つ目がスタジオ・アルバムさ

※管理人注

ファストフード最大手のマクドナルドは、2002年から、毎年11月20日の「世界子どもの日」(1954年国連制定)に、世界中の恵まれない子供たちのための大規模な募金活動を展開するようになりました。このキャンペーンの一環として、多数のアーティストの参加のもと、「コンサート・フォー・ワールド・チルドレンズ・デー」というチャリティ・コンサートが開催されています。第1回目のコンサートは、デヴィッド・フォスターが音頭を取り、ピーター・セテラやセリーヌ・ディオンらが駆けつけました。このときの模様は、アメリカのTV局PBSがDVD化していますが、残念ながら日本国内ではほとんど流通していません。


Q2 レーベルは、インディーズ系ですね?

このアルバムには、アレンジから、プロデュース、作曲、アートワークに至るまで、心血を注いだつもりだよ。いくつかのメジャー・レーベルが手を上げてくれたんだけど、彼らとは条件面で折り合いがつかなかった。だから、以降、良い話が来るのを待っていたんだ。そしたら、(インディーズ系の:管理人注)ViaStar Recordsが実によく便宜を図ってくれたんだ


Q3 伝統的な曲に現代風のひねりを利かせていますね?

あまりにも良い曲だから、いくつかはいじって欲しくなかったと思う曲もあるかもしれないね。だけど、僕は僕なりにひねりを加えてみたかったんだよ。僕が聴いたクリスマス・アルバムはこういったスタンダードなものだった。僕の最高傑作さ


Q4 アリソン・クラウスをパートナーに選んだのは?

(アリソン・クラウスと共演した"DECK THE HALLS"はウェールズ地方の古謡なので:管理人注)、「僕はこの曲にアイルランド風の味付けをしたかったんだ。ナッシュビルに拠点を移して以来、アリソンには目を付けていたよ。僕は"DECK THE HALLS"と"BLUE CHRISTMAS"のどちらかがいいか、聞いてみた。彼女が採らなかった方(="BLUE CHRISTMAS":管理人注)は、娘のクレアとやろうと思ってた。まさに素敵な時間を過ごせたよ


Q5 クレアとは2曲、デュエットしていますね?

クレアが気乗りするかどうか、話し合ったよ。ついになんとかして、2人の娘をひっくるめてこのクリスマス物を完成させることができた。下の子のセナも、絵を描いてくれた。クレアについては、彼女ならバック・ヴォーカルぐらいはできるだろうと考えていた。でも、僕のヴォーカルの方がひどくてさ、自分のパートは歌うのをやめちゃったんだよ。それで、残った部分が(=クレアの歌った部分が:管理人注)リード・ヴォーカルってわけ。"BLUE CHRISTMAS"、いい曲だよ。2人の娘を参加させるという積年の思いが叶って、実にうっとりとした気分だ


Q6 選曲方法は?

まず最初に、ずっとやってみたかった曲がいくつかあったんだ。それはあるクリスマス・ソング、または、捨て置くには惜しまれる2つの曲だった。クリスマス・ソングを書くのは難しかったね。演奏するスタンダード・ナンバーを選ぶ作業より難しかったよ。自分にはなかった感じを出そうと思って、くまなく探した曲が数百はあったね。ナット・キング・コールの定番"THE CHRISTMAS SONG"みたいなやつさ。願わくば、僕のバージョンも新しいスタンダードになって欲しいなあ


Q7 新曲が3曲ありますね?

まずは断片部分から始めて、3つの物にしたんだ。クラシックであろうとなかろうと、それらは本当に素晴らしいクリスマス・ソングだね。"SOMETHING THAT SANTA CLAUS LEFT BEHIND"は楽しい歌だ。この曲では僕はベースを弾いたんだよ。しばらく曲にのせることなんかしてなかったんだけどね


Q8 レコーディングはクリスマスの良い記念になりましたか?

僕はクリスマス大好き人間なんだ。僕の両親は僕にクリスマスの楽しさを染み込ませてくれた。僕も2人の娘に同じことをしてあげようと思う。クリスマスには特別な思い入れがある。ここに、なぜ僕がこのアルバムに十分な手間隙をかけたか、という理由がある。つまり、あらゆる人に聴いてもらいたいし、クリスマスの楽しさを理解してもらいたい、と思ったからなのさ


Q9 ニュー・アルバムをリリースしてだいぶ経ちますね?

以前一緒にやっていたスタッフ(=ソロ第7弾『ANOTHER PERFECT WORLD』の製作関係者のことと思われる:管理人注)とは、型にはまった感じになってしまってね。僕は目的があると書くタイプなんだよ。僕はスタジオ・アルバムもやりたくて、今はそれを(今回の配給元の:管理人注)ViaStarの人たちと一緒にやりたいと思ってる。それが、『ハロー、ワールド、僕は帰ってきたよ!』っていうのの、次の局面になるだろうね


Q10 最近、ツアーに出てソロやシカゴの曲をやっていますね?

昔の曲をたくさんやるのは実に楽しいものだったよ。僕は先のことを見据えるほうで、振り返ることはしないんだ。もちろん、多くの人が『再結成するんですか?』って聞いてくることも把握している。でも、それは僕にとってワクワクするようなことじゃないんだ。このクリスマス・アルバムを聴いてもらえば、僕がしたいことが分かってもらえると思うよ。僕から遠ざかっているという感覚はない。辛抱して好機が訪れるのを待っていたんだ。僕はこのクリスマス・アルバムに賭けた。そして、自分で作ろうと。結果には大変満足しているよ


Q11 『WORLD FALLING DOWN』はあなたのベスト・アルバムだと思うのですが、セールスは低調でした(全米アルバム・チャート第163位:管理人注)

うん、たしかに、そうだね。ものすごく好きなアルバムだ。ロンドンのアンディ・ヒルと一緒に仕事をしたんだよ。振り返ると、良い思い出がたくさんあるね。ちゃんとしたプロモートをしてもらえず、僕のソロ・キャリアの中でもほろ苦い部分であったりもするけど。基本的に、このアルバムは大した宣伝もなく発売されたんだよ。本当は必要なことなんだけどね。いろいろやったけど、まったく耳を貸してもらえなかった。ひょっとしたら、形はどうあれ、再リリースしてみたい気もするね。"RESTLESS HEART"はグレイト・ソングだ。"HAVE YOU EVER BEEN IN LOVE"なんて、なんだか自分の曲のようだよ


Q12 今後、どんな人とデュエットしたいですか?

エンヤ?いや、分からないや。彼女の風采は好きだね。彼女も僕みたいなものでしょ。みんな、僕らのことなんか分からないんだな。彼女もまた物事を普通にやろうとするレコード会社には敏感に反応するよね。僕はデュエットが好きだ。なぜなら、お互いのサイドに新しいオーディエンスをもたらしてくれるからね。チャカ・カーン、シェール、エイミー・グラントなど。みなさんがデュエットを期待するような原石は常にあふれていると思う。また、僕は男性アーティストと一緒に歌えるような歌も探しているんだ。男同士のデュエットって、そうないじゃない。適当な歌が見つかったら、楽しいだろうなあ


Q13 シカゴはロックの殿堂入りに相応しいと思うのですが、まだ受賞していませんね

何とも皮肉で滑稽なのは、自分でもどう答えたらいいのか分からない、ということだ。本当に言及しにくいな。僕はもうシカゴに在籍していた時よりも長くソロでやって来ているからね。もし、彼らが殿堂入りしたら、それはすごいことだよ。でも、僕らはノミネートされない。皮肉なことだね。シカゴは実に多くの素晴らしい曲を持っているし、人々の生活の一部になっているというのに、ね。何年も前から根深い対立があるんだ。何が災いしたかは分からない。僕らがヒットを量産するようになるや否や、僕らは評論家のお気に入りではなくなった。やがて、彼らは僕らをこき下ろすようになったんだ。ヒット曲があるからだよ。ひとたび時流に乗ろうものなら、今度はそこから降りるのが難しくなる。引退する頃になって、もし、彼らがノミネートしてくれたら、僕は行くだろうよ。でも、あいにく、まだ引退の準備はできていないけどね

Q&A シカゴはロックの殿堂入りをしているのか?


Q14 ヒット曲に対するファンの反応をどう思いますか?

世界中の至るところからあがるヒット曲の数は、ビックリ仰天するほどだよ。『おぉ、話してくれてとてもうれしいです』って、みんな言うでしょ。それで、僕も興奮して帰る。もちろん、楽しいよね。世間の注目を浴びていない人には分からないことだと思うよ。今は、自分でウェブサイトを持っているから、それで、みんなが言ってることに耳を傾けたり、読んだりしているんだ。みんな、自分自身がいかに他の多くの人にとって重要な存在であるか、きっと分かると思うな。それは、目を見張るような体験だよね

01

LET IT SNOW
レット・イット・スノウ

SAMMY CAHN JULE STYNE

02

CHRISTMAS SONG
クリスマス・ソング

ROBERT WELLS MEL TORME

03

SANTA CLAUS IS COMING TO TOWN
サンタが街にやってくる

HAVEN GILLESPIE FRED COOTS

04

BLUE CHRISTMAS
ブルー・クリスマス

BILLY HAYES JAY JOHNSON

愛娘クレア・セテラとのデュエット。ピーター曰く、「ゾクゾクする体験だった」とか。

なお、クレアとは、すでに、5作目の『ONE CLEAR VOICE』に収録された"THE LUCKY ONES"において、クレアがバック・ヴォーカルを務めるという形でコラボレーションが実現しています。しかし、本作クリスマス・アルバムほど本格的なものではありませんでした。


I'll have a blue Christmas without you
I'll be so blue thinkin' about you

Decorations of red on a green Christmas tree
Won't be the same dear you're not here with me

And when those blue snowflakes start fallin'
That's when those blue memories start callin'

You'll be doin' alright with your Christmas of white
But I'll have a blue, blue, blue Christmas

You'll be doin' alright with your Christmas of white
But I'll have a blue, blue, blue Christmas

And I'll have a blue, blue, blue Christmas

05

DECK THE HALLS
ひいらぎ飾れ

Traditional & PETER CETERA TONY HARRELL

今では見慣れない言葉が並びますが、これらはイギリスのウェールズ地方の古語です。1800年代の終盤に登場し、やがて世界に広まったと見られています。

日本では、"ひいらぎ飾れ"、あるいは、"ひいらぎの枝で飾れ"といった邦題があてられるようです。

この曲でデュエットしているアリソン・クラウスは、ブルーグラスと呼ばれるアコースティックを主体とした即興音楽の現代の旗手です(その他、詳しくは、彼女のオフィシャル・ウェブサイトまで)。また、彼女のとデュエットの経緯はこちらをご覧ください。

全体クレジットに彼女の演奏楽器が掲載されていないので、若干不安ではありますが、おそらくはストリングスもこのアリソン・クラウスによるものでしょう。彼女のプリミティヴで、どこか郷愁を誘う奏法は、この古い民謡にとてもマッチしていると思います。

なお、偶然にも、シカゴの現ギタリスト、キース・ハウランドも、このアリソン・クラウスが大のお気に入りアーティストなのだそうです。彼女の素晴らしい声、そして、サポートするユニオン・ステーションの面々の演奏に聴き惚れているとのことです。


Deck the halls with boughs of holly
Tis the season to be jolly
Don we now our gay apparel
Troll the ancient Yuletide carol

See the blazing Yule before us
Strike the harp and join the chorus
Follow me in merry measure
While I tell of Yuletide treasure

Fa la la la la la la la la

Fast away the old year passes
Hail the new, ye lads and lasses
Sing we joyous, all together
Heedless of the wind and weather

Fa la la la la la la la la

06
I'LL BE HOME FOR CHRISTMAS
クリスマスは家で過ごそう

WALTER KENT KIM GANNON BUCK RAM

ビング・クロスビーのヒットで有名な曲。

≪クリスマスには帰るよ。あてにしてもらっていい≫という期待を抱かせる出だしに対して、結びは≪たとえ夢の中だけだったとしても≫という、何とも切ない歌詞でくくっています。

ここからもうかがわれるように、本曲はちょっとさびしいクリスマス・ソングです。それもそのはず、これはどうやら戦地を意識して書かれたものらしいのです。

なお、作者の表記ですが、CD上には「KENT WALTER」とあるところ、 一般的には、「WALTER KENT」と呼称されることが多いようですので、ここは一般的な表記に従いたいと思います。


I'll be home for Christmas
You can count on me
Please have snow and mistletoe
Presents by the tree

Christmas Eve will find me
Where the love light gleams
I'll be home for Christmas
If only in my dreams

Christmas Eve will find me
Where the love light gleams
I'll be home for Christmas
If only in my dreams
If only in my dreams

07

YOU JUST GOTTA LOVE CHRISTMAS
ユー・ジャスト・ガッタ・ラヴ・クリスマス

PETER CETERA TONY HARRELL

今回のクリスマス・アルバム製作にあたって収録された、ピーター・セテラとトニー・ハレルの共作による新曲。

08

JINGLE BELLS
ジングル・ベル

Traditional & PETER CETERA TONY HARRELL

トラディショナル・ソングですが、作者ははっきりしています。ジェイムズ・ピアポントというマサチューセッツ出身の音楽家が1857年に製作した作品です。元々は、"ONE HORSE OPEN SLEIGH"という題名でした(このフレーズは歌詞にも出てきます)。

それにもかかわらず、このリズミカルで楽しい曲は、いつのまにかクリスマス・ソングの定番になってしまいました。

今回、ピーター・セテラとトニー・ハレルの名前もクレジットされていますが、おそらく、≪Don't stop ringing the jingle bells≫という一節を書き加えた点がオリジナルと違うからだと思います。


Jingle bells, jingle bells
Don't stop ringing the jingle bells

Jingle bells, jingle bells
Jingle bells, jingle bells

Dashing through the snow
In a one-horse open sleigh
Over the fields we go
Laughing all the way

Bells on bob-tail ring
Making spirits bright
What fun it is to ride and sing
A sleighing song tonight

Jingle bells, jingle bells
Jingle all the way

Oh what fun it is to ride
In a one-horse open sleigh

Jingle bells, jingle bells
Jingle all the way

Oh what fun it is to ride
In a one-horse open sleigh

Bells on bob-tail ring
Making spirits bright
What fun it is to ride and sing
A sleighing song tonight

Jingle bells, jingle bells
Jingle all the way

Oh what fun it is to ride
In a one-horse open sleigh

Jingle bells, jingle bells
Jingle bells, jingle bells
Don't stop ringing the jingle bells

09

GOD REST YE MERRY GENTLEMEN
世のひと忘るな

Traditional & PETER CETERA TONY HARRELL

10

WINTER WONDERLAND
ウィンター・ワンダーランド

FELIX BERNARD RICHARD B. SMITH

この曲もクレア・セテラとのデュエット。

11

SOMETHING THAT SANTA CLAUS LEFT BEHIND
サムシング・ザット・サンタクロース・レフト・ビハインド

PETER CETERA TONY HARRELL

"YOU JUST GOTTA LOVE CHRISTMAS"に続く新曲。とにかく、楽しい曲です。

物語のあらすじはこうです。

ある子どもの家にクリスマス・プレゼントが届きます。ところが、どうやら、サンタクロースは、他の子に配る分までその家に置き忘れて行ってしまったのです。信じられない光景に狂喜乱舞する当家の子どもは、うれしくも眠気に勝てず、とりあえずベッドに入ります。ところが、朝起きて確認してみると、未明に見た余分のプレゼントが消えてしまっているのです。

あれは夢だったのか、現実だったのか――、と悲嘆に暮れる少年(少女)に、母親は優しく、「また来年があるわよ」と励ましてくれます。

解釈が分かれるところだと思いますが、個人的には、素直に信じることの大切さを説いている歌のように映りました。

つまり、私は、実際にサンタは他の子の分も置き忘れていったのだと思っています。そのうえで、この子が大人と同じように少し疑ってかかったために、叶うはずの夢が現実化しなかったのではないか、と推測しています。最終節の歌詞に、≪この話の要点は、いつも夢を見る気持ちを抱き、信じる心を持つなら、すべては叶う、という点だよ≫という部分がありますが、この部分も根拠です。たしかに、やや残酷な感がなきにしもあらずですが、微笑ましい教訓になっているようにも思えるのです。

オッチョコチョイのサンタと、意外な展開にビックリする子どもの姿とが、対称的に面白く描かれているとともに、母親の温かさを感じ取ることのできる作品でもあります。

なお、2004年12月2日、ボストンで行われたクリスマス・ツリーの点灯式に参列したピーターは、この"SOMETHING THAT SANTA CLAUS LEFT BEHIND"を歌う際、「この曲が次女セナ・セテラのために書かれたもの」であることを明らかにしています。

12
ALONE FOR THE HOLIDAYS
アローン・フォー・ホリデイズ
PETER CETERA TONY HARRELL

この曲も新曲。