前作『グレイテスト・ヒッツ 1982-1989』がベスト盤だったため、その前作となる『シカゴ19』に引き続き、この『21』でもライター陣に名を連ねることとなったダイアン・ウォーレンの作品。
リード・ヴォーカルはビル・チャンプリン。シカゴにしてはコーラス的色彩が薄いのですが、後半にはしっかりブラスが利いているので安心します。
さて、作者ダイアン・ウォーレンは女性ですが、ビルが歌ってるので、男を主人公に据えたいと思います。すると、内容は、精一杯キミをものにしようと頑張ったが、結局はダメだった、という感じでしょうか。≪キミに関心を持ってもらおうとしてもムダ。勝ち目なんて全くない。(キミを手に入れようとすることは)まるで風を追い駆けているようなものさ・・・≫と開き直りとも冷笑とも言える主人公の言葉。本当はせつないのでしょうけれど、ビルが歌うと、立ち直りも案外早そうに思います。これが歌い手も女性だったら、もっとサバサバしていたりして・・・。
一方、グループとしてのシカゴは、この"CHASIN' THE WIND"(91年。第39位)のスマッシュ・ヒットの後、"HERE IN MY HEART"(97年。第59位)がチャートに顔を出したきりです。以降は、永らくトップ40ヒットを放っていません。それどころか、HOT100にさえ姿を現さなくなりました。これはいかにもさびしいです。アダルト・コンテンポラリー・チャートでは好成績を残しますが、一般のチャートから遠ざかって久しいです。
その諸因として、80年代後半から台頭したラップやヒップ・ホップがチャートを席巻したこと、CD購入層がシカゴを知らない世代まで若年化したことなど、さまざまな事象が挙げられそうです。「シカゴは飽きられたのか?」、ふとそんな言葉も頭をかすめますが、なんの、なんの。若い方に聴いてもらっても、「全然良いですよ!」と言ってくださるし、CMなどでもかなりの反響があるようです。
60年代、70年代、80年代、90年代とそれぞれチャート入りを果たしてきたシカゴ。00年代も大いに期待していますよ!!
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