前作11作目の『シカゴ XI』をリリースした翌年78年1月に、シカゴはグループの中心的メンバーであったテリー・キャスを不慮の事故で失い、絶望の淵に立たされます。
しかし、茫然としている間もなく、意外にも早くシカゴ新生への道は着手されることになります。
まず、同年4月には、後任のギタリストとして、スティーヴン・スティルス・バンドに在籍した経歴のあるドニー・デイカスを採用します。次いで、5月からは慣れ親しんだカリブー・ランチからマイアミに移してレコーディングを開始します。
そして、テリーの死からわずか8ヶ月足らずの9月に、ニュー・アルバム、12作目の本作『ホット・ストリート』がリリースされるに至ります。
以上の経過を踏まえて、続く10月にカットされたシングルがこの"ALIVE AGAIN"なのです。同シングルは、その週の初登場曲としては最高位の第63位という好位置でチャート・イン。いかにファンの注目が高かったかがうかがわれます。
ドニーの弾けるようなギター・イントロで始まるこの曲は、忌まわしい過去振り払うかのように軽快なテンポを内包しています。
≪明日になれば太陽が輝くなんて、昨日は思いもしなかった。(それほど落ち込んでいたのに)僕の人生にキミが加わることで、僕は生き返ったんだ!≫、≪すべての虚しい過去はもはや消え去った。今ではキミが僕の人生を愛で満たしてくれる≫。表面上は、絶望していた人間が新しい恋人の出現によって活力を取り戻すという歌詞ですが、これがテリーを失った悲しみと、再起を誓うグループの強い意思の表れであることは明らかです。作者のジミーも「行間を読んでもらえば分かる」と言っています。
また、この曲の収録されたアルバムは、『HOT STREETS』とあるようにナンバーがふられていません。しかも、極度に露出の少なかった彼らの写真がジャケットを飾っています。この辺りからも再起に賭ける尋常でない意気込みが伝わってくるというものです。
はたして、未曾有の危機に直面したシカゴはこの曲によってまさに“甦った”のです!その意味で彼らにとって、また、ファンにとっても非常に重要な楽曲になりました。
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