ディスコグラフィ   シカゴ(18)

CHICAGO 18 (1986/9)
CHICAGO

曲目 シカゴ18
シカゴ
総評

試聴♪

Produced by DAVID FOSTER

曲目
01 NIAGARA FALLS ナイアガラ・フォールズ
02 FOREVER フォーエヴァー
03 IF SHE WOULD HAVE BEEN FAITHFUL... フェイスフル
04 25 OR 6 TO 4 (18 version) 長い夜 (18バージョン)
05 WILL YOU STILL LOVE ME ? スティル・ラヴ・ミー
06 OVER AND OVER オーヴァー・アンド・オーヴァー
07 IT'S ALRIGHT イッツ・オールライト
08 NOTHIN'S GONNA STOP US NOW ふたりの絆
09 I BELIEVE アイ・ビリーヴ
10 ONE MORE DAY ワン・モア・デイ
総評

01

NIAGARA FALLS
ナイアガラ・フォールズ

STEVE KIPNER BOBBY CALDWELL

02
FOREVER
フォーエヴァー
ROBERT LAMM BILL GABLE

03
IF SHE WOULD HAVE BEEN FAITHFUL...
フェイスフル
STEVE KIPNER RANDY GOODRUM

"WILL YOU STILL LOVE ME ?"という新生シカゴにとっては記念碑的なヒットに続き、本曲"IF SHE WOULD HAVE BEEN FAITHFUL..."はシングル・カットされ、スマッシュ・ヒットを記録します。この曲は、残念ながらプロモーション・ビデオが作られなかったため、やや地味なヒットに映っていたように思います。

歌詞の内容は、私が高校生だった当時からいまだに難解な印象が拭えきれていません。とにかく、外部ライティングだったせいかもしれませんが、 ≪objective≫、≪misinterpreted≫、≪emphatically≫、 ≪contradiction≫、≪defy≫といった、一目見ただけでは意味のカケラさえも浮かんで来ないような単語が多くて、困惑しました。なお、題名にも出てくる≪faithful≫には、忠実、誠実などの意味のほか、浮気をしないといった意味もあるようです。

彼女には他の恋人がいて、裏切りの恋を経験する主人公。≪彼女が誠実だったら≫、こんなことにならなかっただろうに・・・という強烈な衝撃を受けた男の気持ちを描写しています。しかし、ジェイソンとビルの織り成すパワフルなヴォーカルにより、そういった心情を切々と語るのではなく、力強く叫んでいるところが本曲の特徴と言えそうです。

後半にある、≪皮肉なことに、勝つために負けなければならない≫という一節。あらためて言葉で説明するのも野暮ですが、この主人公は、去り際は男らしく格好をつけて、“キミを振ったのは僕の方なんだ”的な体裁を整えようとしています。愛とはなんぞやを嫌でも分からせてくれた≪彼女にも感謝しよう≫。そして、最後に、やっぱりというべきか、≪何と言う逆説で、矛盾に富んでいるんだろう!≫と結びます。今までのシカゴでもそうそうない非情の哀歌と見ることができそうです。

既出のライターのうち、スティーヴ・キプナーは、前作『17』に収録された"HARD HABIT TO BREAK"の共作者でもあります。かたや、ランディ・グッドラムは、のちのロバート・ラムのソロ第2弾『LIFE IS GOOD IN MY NEIGHBORHOOD』(93年)において一部の曲の共作やプロデュースを手掛けることになる人物です。

さて、本作『シカゴ18』では、この"IF SHE WOULD HAVE BEEN FAITHFUL..."の末尾のエコーが終わると同時に、次曲、新"長い夜"の♪デンデケデンデン、デンデンというダイナミックなドラム・イントロに続いていきます。

04
25 OR 6 TO 4 (18 version)
長い夜 (18バージョン)

ROBERT LAMM JAMES PANKOW

05
WILL YOU STILL LOVE ME ?
スティル・ラヴ・ミー

DAVID FOSTER TOM KEANE RICHARD BASKIN

85年のピーター・セテラ脱退劇に少なからず動揺したファンも多かったことでしょう。例に漏れず、このときの私は、ひたすらショックで打ちのめされていたのでした。「ソロでもグループでもぜひ頑張って欲しい!」と願うのが精一杯だったような気がします。

ところが、ピーターの方は、ソロ・アーティストとしてのキャリアを着実に重ねていくのに対して、グループとしてのシカゴはややとり残されていく感がありました。

そんな中で、シカゴの方も、新たな血路を開くべく、オーディションで、若いが経験豊富なベーシスト、ジェイソン・シェフを採用します。

そして、このジェイソンを迎えた新生シカゴは、ピーターのソロ・ヒット"GLORY OF LOVE"がNO.1を記録して、トップ10圏外に落ちた86年8月に、なんと自らの大ヒット曲"長い夜"のセルフ・リメイクをアルバム『シカゴ18』の先行シングルとしてカットします。この新"長い夜"は初登場第81位と比較的下位でしたが、それでも、その週のホット・ショット・デビュー(その週の初登場曲の中で一番上位の曲)でしたから、ファンの期待は大きかったと言えるでしょう。

しかし、新"長い夜"は、ものすごい勢いでトップ40近辺まで駆け上がってきたにもかかわらず、突如として、第48位でその勢いがバッタリと止まってしまいます。実に不思議でした。「来週は、来週は・・・」と待ち続けたものの、結局、その第48位に3週間もとどまる異様な結果に終わります。これはショックでした。「ファンの期待に乗ってはじめは調子良かったが、途中でそのファン自身が曲の内容にガッカリしたのでは?」と思ってしまったからです。このチャート成績には正直「あ〜、まずいなあ〜」という印象を持ちました。

一方、ピーターの方は、エイミー・グラントとのデュエット"THE NEXT TIME I FALL"をその年の暮れに再び全米NO.1ヒットに押し上げます。このピーターの活躍振りはまさに目を見張るものがありました。

一方、このような経過から、グループとしてのシカゴにますます危機感を抱いた人も少なくなかったはずです。

しかし、新"長い夜"でコケた後のシカゴの立て直しも結果的には速かったのです。直後の10月に、本曲"WILL YOU STILL LOVE ME ?"をシングル・カットしたわけです。

ところが、これがまた異様なまでのスロー・ペースでした。当時としては決して珍しくはなかったのですが、上位に行くまではかなりの時間を要しました。じわっじわっと上がり、年を越した87年2月、もはや忘れようかというときに、トップ10内に入ります。しかし、面白いことに、この上位に来て急に加速し始めるのです。あれよという間に堂々の第3位を記録します。このときの第1位はボン・ジョヴィの"リヴィン・オン・ア・プレーヤー"で、当時の彼らには太刀打ちできる術もありませんでしたが、本当にホッとしたことだけ妙に記憶に残っています。また、プロモーション・ビデオの製作(ないし国内搬入)も遅れていまして、もはや「作らないのかな?」と思ったくらいで、非常にヤキモキさせられました。

≪ありのままの自分を受け入れて欲しい≫、≪2人の心は運命で結び付けられている≫、≪キミの残りの人生中、僕を愛していると言っておくれ≫、≪1人じゃ生きて行けないんだ≫と、歌詞も分かりやすく、とても感動的な歌でした。

ジェイソン・シェフのヴォーカルは、嫌でもピーターと比較してしまうところですが、今改めて思うと、当時は間伸びして聴こえた声も、とても広がりのある大らかなヴォーカルだということに気付きます。出だしのかすれた感じなどは当時弱冠24歳とは思えないささやき方、テクニックです。

後半のビル・チャンプリンとのダイナミックな掛け合いはとても力強く、この頃流行り出したいわゆるパワー・バラード路線を地で行きます。

この曲のヒットを契機にして、シカゴはさらにシングル・ヒットを連発することになります。その意味では、"HARD TO SAY I'M SORRY / GET AWAY"あるいは遠く"ALIVE AGAIN"に通じる起死回生的な楽曲となりました(と思う)。

06
OVER AND OVER
オーヴァー・アンド・オーヴァー
ROBERT LAMM JAMES NEWTON HOWARD STEVE LUKATHER

07
IT'S ALRIGHT
イッツ・オールライト
BILL CHAMPLIN DAVID FOSTER

08
NOTHIN'S GONNA STOP US NOW
ふたりの絆

JASON SCHEFF BUZZ FEITEN

09

I BELIEVE
アイ・ビリーヴ

BILL CHAMPLIN

10
ONE MORE DAY
ワン・モア・デイ
JAMES PANKOW CARMEN GRILLO