ディスコグラフィ   シカゴ(17)

CHICAGO 17 (1984/5)
CHICAGO

曲目 シカゴ17
シカゴ
総評

試聴♪

Produced by DAVID FOSTER

曲目 <ライノ再発盤のボーナス・トラックの邦題については単純にカタカナ表記にしてあります>
01 STAY THE NIGHT ステイ・ザ・ナイト
02 WE CAN STOP THE HURTIN' ストップ・ザ・ハ−ティン
03 HARD HABIT TO BREAK 忘れ得ぬ君に
04 ONLY YOU オンリー・ユー
05 REMEMBER THE FEELING 想い出に生きて
06 ALONG COMES A WOMAN いかした彼女
07 YOU'RE THE INSPIRATION 君こそすべて
08 PLEASE HOLD ON プリーズ・ホールド・オン
09 PRIMA DONNA プリマドンナ
10 ONCE IN A LIFETIME ワンス・イン・ア・ライフタイム
<ライノ再発盤ボーナス・トラック>
11 WHERE WE BEGIN ホエア・ウィ・ビギン
総評

本アルバム『シカゴ17』は、2006年10月3日に、ライノからリマスター&ボーナス・トラック付きで再発されています(輸入盤)。同年4月26日の再発国内盤は録音レベルの調整によって音量を上げていましたが、今回のライノ盤は真のリマスターです。実際、4月の国内再発盤よりもさらに音量・音質が向上しています。

01

STAY THE NIGHT
ステイ・ザ・ナイト

PETER CETERA DAVID FOSTER

当時中学3年生だった私が最初に接したシカゴ。

その前に"HARD TO SAY I'M SORRY / GET AWAY"くらいは聴いたことがあったのかもしれませんが、そのときは誰が歌っているのかさえ気にも留めなかったというくらいの認識度です。

とにかく、ラジオから聴こえてきたこの"STAY THE NIGHT"のイントロにあるガラスが割れるようなシンセの響きは未だに忘れることができません。

しかも、当時はMTVが大流行し始め、テレビで何度もこの曲のプロモーション・ビデオを目にしました。その内容の面白さにも単純に惹かれていました。

しかし、このときは、今の今までシカゴを聴き続け、ましてや、自分でウェブサイトを開設するに至るなんて、粒ほども考えていませんでした。

ちなみに、そのビデオに出てくるメンバー個々の顔ぶれも当時はまったく区別がつかず、塗装工に扮したビル・チャンプリンにしても、最初はコミカルなおじさんくらいにしか思っていませんでした・・・。

さて、曲の内容は、有無を言わさず、≪今夜は泊まっていきな。キミと一緒に過ごしたいんだ≫というもの。ピーターがかつて"IF YOU LEAVE ME NOW"で見せた優男振りは微塵もなく、かなり強引な主人公が登場します。

曲調も、ピーター自身が近年傾倒していたバラードというよりは、『8』の"HIDEAWAY"や、『14』の"HOLD ON"で見せたハード・ドライビング路線を継承しています。

02
WE CAN STOP THE HURTIN'
ストップ・ザ・ハ−ティン
ROBERT LAMM BILL CHAMPLIN DEBORAH NEAL

03
HARD HABIT TO BREAK
忘れ得ぬ君に

STEVE KIPNER JOHN PARKER

"STAY THE NIGHT"でシカゴを知った私にとって衝撃的だったのが、この曲。

84年の秋口から、例のソフト・フォーカスを利かせたビデオ・クリップの映像とともに猛烈な勢いでチャートを駆け上がってきた光景は未だに明確に脳裏に焼き付いています。

当時の第1位はスティーヴィー・ワンダーの"心の愛"、第2位はビリー・オーシャンの"カリビアン・クイーン"というともに超名曲。それだけに何とも言えない悔しさというか、もどかしさがあって、今でもこれらの曲を聴くと、あの頃の若い気持ちが甦ってきます(なんて熱心なチャート小僧だったんだろう・・・)。

共作者の一人、スティーヴ・キプナーは、オーストラリア出身のミュージシャンで、中でも、オリヴィア・ニュートン・ジョンの大ヒット、"フィジカル"の共作者として有名です。その後、88年に至り、プレイヤーのピーター・ベケットとともにシンク・アウト・ラウド(THINK OUT LOUD)というユニットを組みます。そして、もう一方のジョン・(ルイス・)パーカーはのちになって、このシンク・アウト・ラウドとも仕事をするようになる人物で、95年のプレイヤーの再結成アルバムにも曲、キーボードで参加していました。

しかし、一番重要なシカゴとの接点はともに不明です。もっとも、キプナーのソロ・アルバムには、ビル・チャンプリンやデヴィッド・フォスターが参加しているので、単純に考えれば、そういったラインでシカゴの作品を手掛けるようになったのかなあと推測しています。

いつまでも自分のそばにいてくれるもんだと思っていた主人公が、彼女に去られ、≪キミなしの人生に慣れるのは大変だ≫、≪僕はキミに首ったけだったんだ≫、≪キミは断ちがたい習慣なんだよ≫と哀しく振り返る内容。

≪hard habit to break≫とは、このように疑いのないほどに当然なもの、あるいは、失ってはじめてその必要性を認識させられる事柄を指すのでしょう。映画などの台詞ではよく使われるフレーズでもあります。

この曲でもお分かりいただけるように、シカゴは複数ヴォーカル体制のグループです。ここでは、ピーター・セテラとビル・チャンプリンの織り成す哀愁を帯びた歌唱が印象的で、とくに後半のドラマティックな展開はひときわ感動的です。

なお、この曲には、ロバート・ラムもメイン・ヴォーカルの1人として歌うバージョンが存在します。同バージョンは、2007年3月にロバート・ラムのmyspaceで、その後はシカゴのmyspaceで、それぞれ試聴公開されていました。

04
ONLY YOU
オンリー・ユー

JAMES PANKOW DAVID FOSTER

05
REMEMBER THE FEELING
想い出に生きて

PETER CETERA BILL CHAMPLIN

06
ALONG COMES A WOMAN
いかした彼女
PETER CETERA MARK GOLDENBERG

ひとりぼっちの男の前に、彼女が現れ、恋に落ちる話。

作曲面で気付くのは、ひとりぼっちのときも、彼女といるときも、≪Nothin' seemed to matter≫、≪Can't explain somethin' that you're feelin' for the very first time≫というフレーズが使われている点。つまり、その両方のシチュエーションにおいては、≪他のことはどうでもいい!≫、≪はじめてのことだからどんな気持ちかなんて説明できない!≫という心理状態になるというのです。なるほど、うまいところを突いたなあ、と思いました。

本曲のプロモーション・ビデオは、名画『カサブランカ』をモチーフとしているものの、あらすじはまったく異なると言っていいでしょう。だいたい、ピーター演じるハンフリー・ボガートがジャングルの中を追いかけられて泥沼に隠れるなんてシーンはありません(笑)。どうもいくつかの映画が混成して出来ているようです。どうせなら、ピーターの「君の瞳に乾杯!」なんて言葉があってもよかったかな、と!?

なお、98年に日本で発売された『ハート・オブ・シカゴ 1982〜1998 II』(黄盤)では、この曲のダンス・ミックスを楽しむことができます。

07
YOU'RE THE INSPIRATION
君こそすべて
PETER CETERA DAVID FOSTER

"HARD HABIT TO BREAK"の大ヒットで、今後も連続してシングル・ヒットが生み出される予感のしたシカゴ。

その予感は見事的中し、アルバムから3曲目のシングルである本曲も、あれよあれよという間にチャートを駆け上ります。ビルボード誌上では、マドンナの"ライク・ア・ヴァージン"、ジャック・ワグナーの"オール・アイ・ニード"(好きだったなあ〜)、フォリナーの"アイ・ウォナ・ノウ"に阻まれて、惜しくも2週間第3位を記録するにとどまりましたが、小林克也さんでおなじみの「ベスト・ヒットUSA」の基盤となるラジオ&レコーズでは堂々の第1位を獲得しています。

内容は、永遠の愛を定め付けられた2人の物語。≪どこにいてもキミのことが頭から離れない≫、≪キミは励ましとなる人≫といった純粋な気持ちが表れています。

しかも、聴き出した中学生のときには分かりにくかった、≪You know our love was meant to be the kind of love that lasts forever≫という出だしの部分。のちに、≪be meant to〜≫で≪〜することになっている≫と訳すと分かってからは、運命付けられていることを意味するものと判明し、「ああ、なるほど」と納得した思い出が。

なお、デヴィッド・フォスターの『ラヴ・ストーリー』というアルバム中のコメントによれば、この曲は、もともとピーターとデヴィッドが、カントリー界の大御所ケニー・ロジャースのために製作していたものであるところ、その完成がレコーディングに間に合わなかった、というエピソードがあるようです。

ところで、すでに伊藤秀世さんが指摘されておられるように、アルバム『シカゴ17』に収録されたこの曲のLPバージョンには、2分42秒のところにギター・フレーズがありましたが、CD化の際にはなぜかそれが省略されてしまいました。LPバージョンが収録されているものをざっと挙げますと、『ハート・オブ・シカゴ』(89年。いわゆる日本初考案のハート・オブ・シカゴ)、『20』、『23』、『ハート・オブ・シカゴ 1982〜1997』(97年。赤盤)、そして、2002年に発売された27作目『シカゴ・コンプリート・ベスト』などがあります。この中では、音源がリマスターされている、この『シカゴ・コンプリート・ベスト』をお求めいただくのが一番だと思います。

また、曲の最後、フェイド・アウトしていく部分の歌詞も、『シカゴ・コンプリート・ベスト』ではちゃんと記載されています。

ちなみに、ピーターは、この曲を自己のアルバム『愛ある別れ〜ピーター・セテラ・ベスト・コレクション』(YOU'RE THE INSPIRATION: A COLLECTION)でセルフ・カバーしています。アコースティックとボサノヴァを織り交ぜたような心地良い仕上がりは感動的です。なぜか夏の海辺を思わせます。

また、このカバー曲はAZ YETと組んでシングル・カットされ、97年10月25日から11月1日にかけて第77位を記録します。久々にピーターの名前がチャートに現れた瞬間でもありました(『ワン・クリア・ヴォイス』または『愛ある別れ〜ピーター・セテラ・ベスト・コレクション』の欧州盤参照)。

08
PLEASE HOLD ON
プリーズ・ホールド・オン

DAVID FOSTER BILL CHAMPLIN LIONEL RICHIE

09

PRIMA DONNA
プリマドンナ

PETER CETERA MARK GOLDENBERG

10
ONCE IN A LIFETIME
ワンス・イン・ア・ライフタイム
JAMES PANKOW

<ライノ再発盤ボーナス・トラック>
11
WHERE WE BEGIN
ホエア・ウィ・ビギン

ROBERT LAMM

この曲を聴いて驚きました。これは"STANDING AT YOUR DOOR"の原型となった曲ですね。歌詞をご覧いただいて分かりますように、ロバート・ラムが別れた父親に対する思いを綴った歌です。

なお、元アンブロージアのデイヴィッド・パックは、自身のオフィシャル・ウェブサイト(2007年2月23日付「news」欄)にて、自己がデュエット相手であるとコメントしてくれています。しかも、曲のクレジットも、ロバート単独ではなくて、ロバートとデイヴィッド・パックの共作である旨も明かしてくれています。

以下は、海外の書き込みを参考にした歌詞です。

Most of my life
I was living without you
Something always seemed so incomplete

Through the years
I was thinking about you
Waiting for the moment
You and me

How do you do?
Good to see you
What are your thoughts?
Did you need to wait so long
Till the feeling something was wrong?

Well I know here is where we begin
It's all very clear
For this is the end of being alone
We've waited so long
We'll make it forever

Nights I would dream
Of the day we made contact
It's come true
Now I'm standing at your door

After a time
Did you come to forget me?
Here I am
Now I'm standing at your door

How do you do?
Good to see you
What are your thoughts?
Did you need to wait so long
Till the feeling something was wrong?

Well I know here is where we begin
It's all very clear
For this is the end of being alone
We've waited so long
We'll make it forever


ほとんどの人生
あなたなしで生きてきました
いつも何か足りないと感じていました

何年もの間ずっと
あなたのことを考え続けてきました
あなたと一緒にいる瞬間を待ち続けてきたのです

お元気ですか?
お会いできて嬉しいです
何をお考えですか?
何か変だと気付くまで、こんなに長い時間が必要だったのでしょうか?

ええ、分かっています、ここからが私たちの始まりなのだ、と
とても明白なことです
ひとりぼっちでいるのはもう終わりなんですから
それにしても、お互い長いこと待ったものです
さあ、これを永遠のものにしましょう

毎晩、あなたと一緒にいたころのことを夢見ました
それが現実となったわけです
私は今、あなたのドアの前に立っているのです

時が経って
もう私のことは忘れてしまいましたか?
私はここにいますよ
私は今、あなたのドアの前に立っているのです

お元気ですか?
お会いできて嬉しいです
何をお考えですか?
何か変だと気付くまで、こんなに長い時間が必要だったのでしょうか?

ええ、分かっています、ここからが私たちの始まりなのだ、と
とても明白なことです
ひとりぼっちでいるのはもう終わりなんですから
それにしても、お互い長いこと待ったものです
さあ、これを永遠のものにしましょう