1983年、CBS・ソニーが「グレイテスト・ヒッツ・シリーズ」と題して世に送り出した編集盤(発売月特定できず)。
おそらく日本独自の編集と思われます(未確認)。便宜上、このページでは、黒盤とでも呼んでおきたいと思います。
シカゴは、80年代初頭、デビュー当初から世話になっているコロムビア・レーベルでは、もはや期待された売上を計上することはできなくなっていました。
そして、間もなく、シカゴはレーベル移籍を断行します。そこは、ワーナー傘下のフル・ムーンというレーベルでした。ここでは、当時新進気鋭のプロデューサー、デヴィッド・フォスターと組み、"HARD TO SAY I'M SORY / GET AWAY"というビッグ・ヒット・シングルを生み出すことに成功します。
こうして不死鳥のようによみがえったシカゴの再興にあやかって、と言ったら語弊がありますが、旧所属レーベルであったコロムビア(=CBS・ソニー)が、その持つ版権を最大限に利用して、続々とかつてのシカゴのヒット曲をベスト盤の形で配給するようになります。
逆に、とくに80年代に入ってはじめてシカゴを知ったファンにとっては、このようなお手軽ベスト盤との接触は、シカゴの全体像をつかむ好機だったとも言えるでしょう。
この黒盤ベストは、84年からシカゴを聴き出した私にとっても思い出深い1枚です。
初期のシカゴの楽曲は、ラジオからとったテープがある程度で、ほんの一部しか知りませんでした。そこで、コロムビア時代の足跡を簡略ながら記した本アルバムのLPも、テープにとり、繰り返し聴いたものでした。
とくに、なかなか聴ホット・ストリート』中TAKE A CHANCE"や"NO TELL LOVER"には新鮮な印象を受けたことをよく覚えています。
なお、この『シカゴ・グレイテスト・ヒッツ』とほぼ同時期に、『シカゴ・ソング・ブック』という編集盤も発売されています。
『シカゴ・グレイテスト・ヒッツ』が、『シカゴの軌跡』から『ホット・ストリート』までのシカゴの代表的なヒット曲を万遍なく網羅したアルバムだったのに対し、『シカゴ・ソング・ブック』の方は、"HARD TO SAY I'M SORY / GET AWAY"で不動のものとした“バラードのシカゴ”路線を明瞭に意識した編集方針の下、ピーター歌唱のラヴ・バラードを中心にまとめたものとなっていました。
なお、『シカゴ・ソング・ブック』はCD化されていますが、この『シカゴ・グレイテスト・ヒッツ』はCD化されるに至っていません。
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